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「人生120年」で計画

私がなぜ人生の目標だとかドラマなどといい出したのかといえば、私たちはいまの日本の恵まれた状況で、自分の夢や希望をいくらでも実現できる時代に生きているからです。

それからこれだけ長生きできるようになると、きちんと目標をたてて生きていかないと、楽しく充実した人生を手に入れられない可能性があるからです。いま日本の女性の平均寿命は約八十二歳ですが、これから寿命はますます延びて人生百二十年の時代がきます。いまの段階では「まさか」と思われるかもしれませんが、老化制御の研究者の間では人生百二十年は常識になっています。

だから「人生八十年」で人生計画をたてていたのではとうてい間に合わない。いまから「百二十年」で計画を立て直さなければなりません。いままでのように人生八十年のつもりでいると、それ以上長生きしたら、きっと戸惑うことでしょう。いま百歳以上のお年寄りを見ていてそう感じられないでしょうか。

人生に対して何の計画ももたずに生きてくると、長生きがたんにおつりの人生になってしまい、無為な老後を過ごすことになってしまいます。私は敬老の日などにテレビに登場する百歳以上のお年寄りを見ていて「長生きしたことに戸惑っている」という印象をしばしば受けます。

でもこの人たちは無理もありません。明治、大正、昭和という激動の時代を生き抜いてくる中で、まさかこれほど豊かで平和な時代がやってきて、これほど長生きできるとは思っていなかったにちがいないからです。

しかし、これからの人はちがいます。私たちはすでに人生百二十年の時代に突入している。新しい寿命時代に突入したからには、意識のほうもそれに見合うように変えなければなりません。

人生百二十年時代をよりよく生きるために一番大切なことは、「自分がどのように年を亜ねていくか」の青写真です。六十歳からはじまる第二の青春が充実するかどうかはそれにかかっているといっても過言ではありません。

ここで試みに第二の青春がどのようなものになるかを考えてみましょう。前に示したロイ・ウォルフォードの生涯図をここでも使います。この生涯図によれば、現在多くの人々が考えているのは「人生八十年」、これからは「人生百二十年」。四十年の延長ですから、これに見合った人生のスケジュールをたてなければなりません。

おそらくあなたも人生八十年までは考えておられたことでしょう。世間では高齢化社会の到来で「老後をどう過ごすか」がこれだけ話題になっている時代です。中高年になればバクゼンとではあっても、八十年を終点とする自分の生涯の姿を思い浮かべない人はいません。

その場合、老後のスタートをどこにおきますか。おそらくご主人が定年になる六十歳くらいでしょう。これには私も賛成です。六十歳は「老後」ではありませんが、第二の青春のスタートラインと考えてよいと思います。

人生を八十年としたら第二の青春は二十年間です。いま老後の資金について考えるとき、だいたいこのへんを目安にしている人が多いようですが、本当にそれでよいのでしょうか。

もし百歳生きたらどうするのですか。百二十歳まで生きたらどうするのですか。予定してなかったといってすまされません。少なくとも二十一世紀に足を踏み入れる人は、ガンもボケも克服され、臓器移植や人工臓器も発達した科学時代に生きるのですから八十年計画ではとても間に合いません。少なく見積もって百二十年計画にする必要があります。


pp.60-62.