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「暦年齢」ー30=新年齢

二十歳になると社会的なしきたりで成人式をしますが、人間が本当に成熟するのは三十歳からと考えるべきです。たしかに二十歳前後で肉体的には一応完成しますが、まだ身長も伸びるし他の部分も成長します。成長を続けている問は本当に成熟したとはいえないのです。

そのことを知らないと、二十歳で一人前になったつもりになり、三十歳になるともう十年も老化したと思ってしまう。でも成熟するまではあくまで準備期間ですから、人生のスタートはその準備が整った三十歳からと考えるのが自然の理にもかなっています。

このように三十歳で成人式を迎えるとすると、いままでの年齢感覚がずいぶん違ってきます。大人としての人生は、六十歳で成熟人生三十年が経過したことになる。このあたりでやっと人生のプロとして一人前になったと感じていいのではないでしょうか。

これは何も私の勝手な考え方ではありません。老化制御の世界ではこうした年齢感覚で人の生涯というものを考えるようになっています。その証拠を一つおⅡにかけましょう。次に掲げたのはウォルフォードという名高い老化制御学者が近い将来の「生涯パターン」として作成した図です。

いままでの年齢感覚とのちがいにきっと驚かれるでしょうが、もうこの生涯図が当てはまる時代に入っていると私は思うのです。これまでの年齢感覚だと若いといえるのが二十歳までで、二十歳を過ぎれば成年になります。その成年と呼ばれる時期もせいぜい三十代どまり。川十を過ぎると立派(?)に中年の仲間入り。その中年も六十歳までで六十を過ぎたら「老人」と呼ばれても文句をいいづらくなる。これがいまのごく一般的に大勢の人が感じている年齢感覚といえるでしょう。

それがこれからどうなるかというと、まず若いといわれる年代が十歳延長されて三十歳までになります。次にいままで四十歳の声を聞いたところで終りをつげていた成人世代がなんと六十歳まで延びてしまいます。六十歳までは中年とさえ呼ばれないのです。

そして中年世代が六十歳から百歳まで。老人といわれるのは百歳を過ぎてから。「いくらなんでもそんなバカな」と思われますか。でも、いますでにこの新しい生涯パターンでなければつじつまの合わない人も出現しているではありませんか。冒頭にご紹介した八十歳で現役パリバリの女医さん。彼女の人生はこの生涯パターンでしか説明できません。これからは彼女のような人が大勢出てくるのです。

日本では女性の平均寿命が八十歳を越えましたが、この平均寿命が延びるということについて、多くの人が錯覚してることがあります。それは科学の進歩が「寿命を延ばした」と思っていることです。たしかに見掛けはそういえます。医学や薬学が進歩して、むかしなら死んでしまうような病気でも命が助かるようになった。食物も豊富になり、環境衛生も整肺されて病気が少なくなった。これらは科学の進歩のおかげです。

でも「だから人間の寿命が延びた」のではなく、人間には「もともと百二十歳の寿命があった」のです。その寿命を「科学の力で全うできるようになった」というのが寿命延長の正しい解釈なのです。

もし科学の力で寿命を延ばすというのなら「まだそこまでは無即だろう」とか「そんなことはできない」という議論も成り立ちますが、もともと人間に与えられた寿命を老化制御という学問が「発見」をしたのですから、先程の「生涯パターン」はそのまま信じていいのです。それはちょうど金鉱脈を発見したのと同じだからです。

そのうえなお希望がもてるのは、金鉱脈があとからあとから発見されるように、老化制御の学問は人間の寿命がもっとはるかに長いことを「発見する可能性」をもっていることです。いま老化制御学者のほとんどは百二十歳という寿命を「もっとも控えめの数字」と見ています。本音は、「百五十歳」.一百歳」「三百歳」、中には「死なない方法も発見できるのではないか」と本気で考えている学者もいるのです。

pp.26-29.